まず、そのキーワードとなる言葉がブッダ(お釈迦さま)の遺言とされる①自灯明・法灯明です。この言葉は大きな越前和紙のオブジェとなって、G館らせん階段の4階から1階まで、らせんを描いて飾られています。
これから先、皆さんが人生を歩んでいく中で、「法(ブッダの悟りの内容・いのちのつながり)を「ともしび(灯明)」として生きてほしい。そのように生きた時、その人はその人にしか出せない「色」で「光」り輝く存在・世の灯となる。SMAPの「世界に一つだけの花」のモチーフともなったこのメッセージは、『仏説阿弥陀経』というお経の中にも、「青色青光・黄色黄光」という言葉で表現されています。
そのように生きていくためにも、自分自身との内なる対話の時間を持って頂きたい。比較や競争を一旦手放して、本当の自分を見つめ、本当の自分の「心の声」に耳を澄ませてほしい。そのようなメッセージを伝えているモニュメントが、②中庭に位置する噴水・響流です。「正覚大音・響流十方」という経典の言葉に基づき、仏の願いはすべてのいのちを貫いて常に流れている事を伝えています。
木々を茂らせ、花を咲かせ、私たちの心臓を動かし、あらゆる命を生かし続けている。自然界のそれぞれの命を満開に花咲かせたいという「命の働き」。その人間の力を超えた命の働きの事を仏教では、「仏の働き」という言葉で表現し、それぞれの命がそれぞれに輝いて存在してほしいという、命そのものの願いの事を「仏の願い」という言葉で表現しています。
常に流れ続ける噴水の水のように働き続ける「命の働き・願い」に気づき、「自らの心の声」に気づいて頂く場所。それが、中庭「響流」の噴水です。その噴水に書かれている言葉は、「なんじ自ら、まさに知るべし」。まず、限りなく生かされている素晴らしい自分自身を知って下さい。そして、その自分自身を生かしきってほしいというメッセージを、流れ続ける水音とともに伝えています。
又その私たちを生かそうとする「命の働き・願い」を表現したモニュメントが、大学正面にある③シンボルタワーでもあります。6対の大きな鉄柱は、両手を合わせた「合掌」の形を表し、その6対は、東・西・南・北・上・下、すべての方向から私たちを生かそうとしている「命の働き・願い」を表現しています。そして、その願いに呼応して、私自身の命を生かしきりますという決意の姿が、③中央に位置する2歳の聖徳太子の合掌像(=仁愛兼済の生き方)なのです。
つまり、ここにもブッダの遺言「自灯明・法灯明」が関係しています。6対の鉄柱で表現されている「法」(いのちのつながり)を灯とする中で、それに呼応して、「自」らの心の声を「灯(灯明)」として生きる姿が聖徳太子の姿であり、この仁愛大学で学ぶ皆さんにお伝えしたい仁愛兼済の生き方なのです。そのように自らの心の声を灯として生きる人は、その人本来の色で光り輝いて生きる事となり(=青色青光)、その人の存在そのものが「うるわしい世を拓く灯となる」。
そのような人生の大切な土台となる「自分創りの大学生活」を、この仁愛大学で過ごして頂きたいというメッセージを④正門碑「うるわしい世を拓く灯となるために」は伝えています。
大学内の仏教モニュメントが伝える建学のメッセージ、在学生・来学される皆さまが「心の声」に耳を澄ますきっかけになればと思います。