心理学科
シロクマだけは考えない
あれ、考えちゃうよ?!
「考えない」と考えるより距離を置いて眺めれば心は解放される
1987年頃にアメリカの心理学者が行った「シロクマ実験」。シロクマの映像を見た3グループの被験者に、「シロクマのことを覚えておいてください」「シロクマのことを考えても考えなくてもいいです」「シロクマのことだけは考えないでください」とそれぞれ伝えます。後日、映像の内容を一番よく覚えていたのは、「考えないで」と言われたグループだったそうです。
悩んでも仕方がないのに悩んでしまうことってありますよね。考えたくないのにぐるぐると頭の中で考えてしまう…反芻思考といわれるものです。では、どうすればいいのでしょうか。
近年注目されているのが、「マインドフルネス」という考え方です。無理にどうにかしようとせず、ただ、悩んでいるんだなぁ、不安なんだなぁ、と少し距離を置いて眺めてみる。「認知行動療法」という治療法もこれに似ていて、カウンセリングを通してネガティブなものの捉え方、考え方のクセを変えていくというものです。
東洋に昔からある禅や瞑想などもこうした感覚に近いもの。何千年も続く思想と最先端の臨床心理学が融合して、新しい知見が生まれていることに驚かされます。
- 渡辺 克徳 准教授心理学科・専門分野「臨床心理学」